2017年08月04日
修了生向けイベント
FSファイナンスクラブとは、FS金融戦略・経営財務コース卒業生とゲストが集い、最新の話題にふれて意見を交換すると共に、新たな仲間と知り合ってネットワークを広げる集まりです。
2017年9月8日(金)に、「IPO体験談とベンチャーCFOの役割」という題目で、 FSプログラムの修了生である小林直樹氏(株式会社 はてな、取締役 CFO)にご講演いただきました。
【開催概要】
■ 日時:2017年9月8日(金)
19:00-20:00 講演会
20:00- 懇親会
■ 受付開始:18:30
■ 場所:学術総合センター8Fオープンスペース
■ 講演者:小林直樹氏(株式会社 はてな、取締役CFO)※2009年4月入学、2011年3月修了
■ 講演タイトル:「IPO体験談とベンチャーCFOの役割」
■講演内容
私は、不動産、コンサル会社で財務・経理、そしてベンチャー企業3社でCFOの業務に従事してきました。これまでのキャリアの中で、銀行からの借入、情報開示、上場支援、投資家からの資金調達、企業再生などさまざまな局面での業務を経験しました。
直近では「はてな」の株式上場をその準備責任者であるCFOとして経験することができました。
さまざまな経験を積んでいくなかで、FSで勉強しようと思ったひとつの大きな動機は、投資家という立場から企業やCFOの仕事を理解したいと思ったことです。授業や研究、他の学生との交流の中で、幅広い視点を得られ、とても勉強に なりました。
さて、今回の経験から、上場準備を成功させるためのポイントをCFOの視点から整理しますと、強いIPO準備チームを作ること、経営メンバーから信頼しても らうこと、広く社員からの理解や協力を得ること、主幹事証券会社・監査法人・弁護士など外部の専門家からの協力を得ることなどがあげられます。また、会社の事業成長の機会を逃さないため、スケジュール通りに上場準備を進めるということも重要だと思います。
そして、他の会社のCFOの方々とのネットワークも大切だと感じます。業種が異なっても、CFOとしてのミッションは同じです。一人では情報量も限られますが、友人のCFOと情報交換することで、財務責任者として孤軍奮闘しなくてはならない場合でも情報格差を低減できますので、
大いに助けられました。実は、FSの先輩や同期の中にもCFOという立場で活躍している方も多く、ネットワーキングという意味でもFSで勉強したこと、FSで得た友人やネットワークは大いに役に立ちました。
ベンチャーCFOの役割は多岐に渡ります。大きく考えると、次の3つがあると思います。1.投資家や債権者への説明責任を果たす等のブレーキ的役割。2.金融・会計・法律の専門家からの指摘や要望を経営者に的確に伝える専門的役割。3.社長や経営陣から要望される企業価値を高めることに応えるアクセル的役割。
人数に限りがあるベンチャー企業の場合、これらの多岐に渡る業務を一人で責任を持ってこなしていくことが求められるためその責任は一層重大です。大企業であれば、その役割を複数で分担していくことも可能でしょうが、ベンチャー企業の場合にはそうはいきません。
裏を返せば、CFOの第4の役割は、重大な責任を負って、孤軍奮闘することを、苦しみよりも楽しみと受け止めて、リスクも大きいが達成感も大きいという喜びを感じることだと思います。CFOは、その職責を果たせば果 たすほど周りの人から嫌われてゆくという面もありますがそこを含めて楽しむこ とができるくらいの懐の深さがあるかどうか、自分のミッションに対してしっかり向き合っていくことができるかどうか、それがCFOにとってはとても重要だと考えております。
【これまでの開催報告】
第1回(2012年11月30日)、 第2回(2013年7月19日)、 第3回(2013年10月18日)、 第4回(2014年2月28日)、 第5回(2014年7月28日)、 第6回(2015年3月13日)、 第7回(2016年2月19日)、第8回(2016年8月10日)