2012年11月30日

修了生向けイベント

第1回 「FSファイナンスクラブ」

第1回 「FSファイナンスクラブ」のご報告

「FSファイナンスクラブ」とは、FS金融戦略・経営財務プログラム卒業生とゲストが集い、気楽に最新の話題にふれて意見を交換すると共に、新たな仲間と知り合ってネットワークを広げる集まりです。

2012年11月30日(金)、第1回の会を学術総合センター8階で開催しました。初めてとなる今回は、19:00からコースディレクターの大橋和彦教授が、「金融危機、金融市場、金融仲介機能に関する研究の潮流:危機がもたらした視点・力点の変化の整理」というテーマで、日本銀行「金融研究」に掲載した論文を基に金融危機以降のファイナンス研究で発展を遂げる諸問題について報告を行い学会の最近の成果を学ぶと共に、それを肴に20:00からは懇親会を開催しました。

2000年入学から2012年入学まで全ての学年からの卒業生30名弱にゲストも加わり、久しぶりに会う仲間だけでなく他学年の卒業生とも初めて知り合うなか、大いに盛り上がり楽しいひと時を過ごしました。
今後もこの会を定期的に開催して行きたいと思います。

大橋 和彦

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【開催概要】

■日時:2012年11月30日(金)
 19:00-20:00 講演会
 20:00-    懇親会
■場所:学術総合センター8Fオープンスペース
■懇親会費:2,000円
■参加資格:FS金融戦略・経営財務プログラムのOB/OG、OB/OGの知人
■演題: 「金融危機、金融市場、金融仲介機能に関する研究の潮流:危機がもたらした視点・力点の変化の整理」
■要旨: 1970年代初めに上場金融デリバティブや証券化金融商品が登場した金融市場 は、その後数十年にわたりイノベーションと競争を通じて大発展を遂げました。 2000年代に入ってからは、組成・販売ビジネスの興隆、シャドー・バンキング・ システムの拡大を経験してきましたが、2008年に深刻な危機に陥りました。 今回の金融危機は、金融市場に関するわれわれの理解の不足を明らかにし、 それまで軽視されてきた諸問題の重要性を再認識させています。この講演では、 危機を契機に生じたこのような視点の変化を整理し、これまでに得られた重要 な知見の幾つかを取り上げて概観します。そのために、まず、金融危機前の金融 市場の拡大を支えた、市場の機能と動態に関する理解の基本的前提について 考察します。そして、今次金融危機の特徴的な現象にかかわる個別の事項として、 組成販売ビジネスにおける情報生産のインセンティブ、格付機関のインセンティブ と格付の信頼性、金融機関のレバレッジの振幅、流動性の枯渇、遅行性資本移動 (slow-moving capital)、不確実性のもとでの市場参加者の行動と行動経済学の 視点からの金融危機の解釈という6つの論点を紹介します。

(キーワード:金融危機、金融市場、金融仲介機能)

この講演は、大橋が2010年6月から12年6月までの2年間、日本銀行金融研究所 で客員研究員として行った研究成果に基づいています。興味のある方は、 「金融研究」に掲載されました同タイトルのサーベイ論文(服部正純(日本銀行、 現国際決済銀行))との共著)を読んでみて下さい。

論文URL http://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/kk31-4-3.htm